新規事業開発の実務

花粉症 (>_<)

【第1回】実録!上場企業が挑む新規事業のマーケティング

本エントリでは、実例を元に新規事業のマーケティングを紹介する。

 

対象読者としてはビジネスマン全般をイメージして書いているが、会社で新規事業を担当している方や、マーケティングに携わっている方、自動車業界の方などには参考になるのではないかと考えている。

 

■目次

 

クルマ屋にいるIT屋

私は現在、中古車流通大手の株式会社IDOM (旧社名:ガリバーインターナショナル) で新規事業の責任者を務めている。前職はソーシャルゲームGREEでメディア事業や新規事業を担当しており、キャリアのスタートはエンジニアなので、属性としてはどっぷりインターネット屋さんということになる。

2016年1月から担当することになった「NOREL」という事業の最初の1年は、月間契約数で当初の7倍、CVR (見込み客から実契約への転換率) で最大9倍と、結果としてはまずまずのスタートを切ることができた。

だが、その過程は非常にハードで苦しいものだった。クルマとインターネットの狭間で生まれる新規事業を扱う中で、何に悩み、考え、どのような施策を行い、何がうまくいって何が失敗したのか。

 

 1年間の試行錯誤を振り返ってみたいと思う。

 

NORELとは 

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まずはNORELについて、控えめに説明しておこう。

norel.jp

NOREL は「月額定額制、クルマ乗り換えホーダイ」という新しいジャンルのサービスである。利用者はインターネットを利用し、サイトに掲載された自動車を申し込む。その後、必要書類を送付すると最寄りのガリバー店舗にクルマが届けられ、任意保険も含んだ月額定額でクルマに乗ることができる。

特徴的なのは、最低利用期間である90日を経過すると次のクルマが予約できるようになり、スイッチングコストなしで別のクルマに乗れるようになることだ。本稿では詳細な説明を省略するので、詳細はWEBサイトでご確認いただきたい。

 

■1年間の軌跡 

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上図は、NORELにおけるこの1年のKPI (重要業績指標) をいくつか切り出したものだ。

簡単に説明しよう。

まず、青い折れ線の部分は "CVR (ConVersion Rate)" である。聞きなれない言葉かもしれないが、「見込み客から実契約への歩留まり」と考えていただきたい。これが高いほど、見込み客が実契約になる確率が高い、ということだ。

次に、濃いオレンジ色の棒グラフが「新規予約件数」、つまり「契約数」である。2017年4月から2017年8月まではほぼ横ばいだが、2017年11月から急激に伸びているのが見て取れるだろう。

最後に、黄色い棒グラフが「新規訪問数」である。グラフに収めるために定数Nで正規化してある。こちらは2017年4月から2017年8月までの伸びは緩やかだが、2017年9月から一気に拡大している。

 

これら3つのKPIの関係から、過去1年のNORELの事業フェーズを「立ち上げ期」「調整器」「拡大期」とラベリングした。各フェーズでの状況と課題、打ち手について説明していく。

 

立ち上げ期の状況と要諦

NORELという事業は、2017年1月から新規受付を停止しており、グラフのスタートである2017年4月から一般の予約受け付けを開始した。新規受付停止の背景としては、ビジネスモデルの再設計、採用も含めたチーム作り、サービス内容の変更など多岐に渡るが本稿では割愛する。

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この時期のポイントは急激に下がる青線、つまりCVRの急激な低下だ。

 

図にも記載がある通り、一定のリード (見込み客) は存在していたものの、新規流入がないので徐々に需要 (リード) が枯渇していく様子がわかると思う。

一方で、この時期は元々月額49,800円の1プランのみだったところから、39,800円・59,800円・79,800円の3プランに拡大し、さらに車両本体の補償を行うサービスを開始したため月あたりの契約単価は、リニューアル前に比べて1万円以上向上した。

このような高価格帯の需要を確認できたことはこのフェーズでのひとつの成果だった。一方で、濃いオレンジの契約数は尻すぼみになっており、このままではビジネスとしての成長は望むべくもない状況だった。

 

その裏側で、事業部は一体何をしていたのか。

 

NORELビジネス最大化仮説

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これは、当時のレポート資料の一部である (外部公開できず伏せている部分がある)。

 

私は2017年1月からNOREL事業を担当している、2代目の事業責任者だ。事業の立て直しは前職GREE時代でもニュース事業にて手がけたことがあるが、その時とステップとしてはだいたい同じだ。真っ先にやらないといけないのは長く戦うために「損益分岐点を下げる」こと、そして収益化を早めるために「ビジネスあたりの利益率を最大化すること」。

ビジネスが危険な状態にある、もしくは立ち上げたばかりの状態で、とにかく収益化を目指してプロモーションに走る担当者がいるが、私のような小心者からみるとそれはいちかばちかの賭けであり、自分の金であれば好きにしてよいが、他人の投資を預かってる際にすることではない。

新規事業を立ち上げた時、最初の仕事は「資金が尽きる前に、未知のニーズの手がかりをつかむこと」である。

 

随分記事が長くなったので、今回は一旦ここまでとしたい。

 

次回は、いわゆる PSF (製品・サービスが、課題に対して正しい打ち手となっている状態) や PMF (顧客を満足させる最適なプロダクトを最適な市場に提供できている状態) を目指して行った打ち手や試行錯誤について書こうと思っている。

 

 ■次回記事

blog.karmanline.co.jp



事業責任者やめて、今度はコミュニケーションプランナーはじめました

お世話になっております。
NORELの直人です。

繁忙期でオペレーションがピンチに陥り、急遽 事業責任者からCS担当に なって、1ヶ月でオペレーション・CSの立て直し をやらないといけないくらい人手不足のNOREL事業部ですが、最近では来期に向けてマーケティング戦略の立案が重要なタスクになってます。

 

・・・なんですが、

当然、うちの事業部にはマーケ担当いないので、手の空いている人が手探りでやらなきゃいけません。はじめてみたものの、スタートアップの認知獲得って数字が読めないだけにすごく難しい。

 

「もう無理!マーケ採用したいぃぃーーーーーーーー (泣)」

 

先週は、ほんと痛切に感じました・・・。やってほしい仕事のイメージを公開しますのでだれか応募して・・・。

 

やらなきゃいかんこと

設計からはじまって、予算取りと実施まで手伝って欲しいです。

予算取りには資料をつくらないといけない。

タイトルスライド

この記事用に、Googleプレゼンテーションで書き下ろしました。ネタです。

前職まではパワポ使うことが多かったんですが、Googleスライドよくなってきましたよね。こまかいことこだわらなければ全然使えます。共有も共同作業も楽だし。

 

なんか適当な出だし

適当に出だしを書きます。

これ読んでる社内メンバー向けに資料作成Tipsっぽいことを書くと、ふつう分析・提案の資料はこんな流れ。

■普通の分析・提案資料の流れ

  1. タイトル
  2. 与件の確認
  3. 現状分析
  4. 課題の抽出
  5. 打ち手の提示
  6. スケジュール
  7. 予算

 

予算取りの資料も似たようなもんで、だいたいこんな流れになります。

■予算をおねだりする資料の流れ

  1. タイトル
  2. 上司への要求 (金くれとか、人くれとか)
  3. ビジョンの確認
  4. 現状のサマリ
  5. ビジョンと現状のギャップ抽出とそれを埋める施策
  6. スケジュール
  7. 予算
  8. 再度、上司への要求 (金くれとか、人くれとか)

だいたい同じですね。「ビジョンの確認」は結構重要で、上司や経営と目線を握ることで対立ではなく伴走の関係になります。ビジョンじゃなくても、ゴールでもミッションでもなんでもいい。

まあ、今回はネタ資料なんで適当に行きます。

ビジョンと要求を合わせて、「事業のケタを一つ増やしたいからもっと踏ませてくれ」というのを書いてみました。要求としては明確ではなく、これはまだ戦術のディティールがぼんやりしているからなんですね。リクエストがくっきりするまでは現場で試行錯誤です。

 

現状のサマリ

普通は直近までの施策の振り返りとかを書くんですが、さすがにそういうのは外にだせないのでお茶を濁すためにこんなマトリックスを挙げてみました。外に出す講演資料とかは出典とか定量的根拠とかちゃんとしないとダメなんですが、ネタ資料なんで適当に書く。

第二象限と第四象限にプレーヤーがいないのは、期間とコストがトレードオフの関係になるからです。期間が長ければ初期コストを按分できるので時間単位あたりのコストは少なくなります。何らかのイノベーションをきっかけに、時間あたりのコストが安く、かつ利用期間も短いサービスが出たらビジネスとしては間違いないでしょうね。

NORELが出てくるまでは3年未満のショートタームリースは国内には存在しておらず、いわゆるホワイトスペースでした。実際は縦にも横にももう少し広いホワイトスペースがあるので事業としてはまあまあアリなんじゃないかと思ってます。

 

方向性

プロモーションの提案資料なんですが、それだけだと抽象的話なんで、一旦スコープを限定してみます。

エリア区切りましょう、と。

マス広告はもとより、リスティングでも、ディスプレイ広告でも、高単価商材はとにかくテストマーケにお金がかかります。スマホアプリとかだったら CPI (Cost per Install) 、つまり成約1件にかけられる限界CPAは500円からせいぜい1,500円くらい。これが、例えばクレジットカードとか不動産とか、そしてクルマも、そういう高単価商材になると何万円もかかります。

「いろいろなチャネルに出広して、CVR (ConVersion Rate) を比較しよう!」

・・・となった場合、限界CPAが10万円の商材だったら 「平均CPO (Cost per Order) 10万円 × 1,000成約 × 3パターン」でなんと3億円!がテストのために必要、とか。例えばですけど。

そういうわけで、今回のテストは昨日電話をかけてくれた安達さんの出身地、名古屋に決めました (当然ですが、実際の仕事ではもうちょっとちゃんと考えて決めますw)。

 

せっかくなんで、リアリティを出すために名古屋に選定した理由なんかをつらつらと書いてみます。こういうのはある程度、結論ありきで見始めた方が決めやすいです。ほんとにあらゆる確度から分析すると、時間もコストもかかるので、経験と勘で答えを決めてしまい、裏付けをとっていく方がいい。「結論→観点→裏とり」みたいな流れ。当然、裏とりの過程で他の有力候補が見つかることも。その意味では、観点や切り口はとても大事ですね。

今回、適当に決めた「安達さんの出身地である名古屋」ですが、調べてみるとほんとにいいんじゃないかという気にすらなってきます。資料ってすごいですね。

 

潜在マーケット、施策、スケジュール

「そこにどんだけの市場があんの?」ということを聞かれたときのために想定作っときましょう。

 

新規事業の目論見では、顕在化しているマーケットはないのが普通なので、競合ではなく代替手段から潜在層を試算します。この辺はどれだけ頑張っても数字遊びな側面がありますので、精緻な見積もりではなくても大丈夫です。精度よりもロジックと肌感で。

 

次、「じゃあ、何やるの?」ってとこがよくわからないってんで適当に出してみます。せっかくだからスケジュールも入れちゃいましょう。

スケジュールの考え方は、エンジニアをやってる人だったら「WBS」や「ガントチャート」のノリで書くといいんじゃないかと。建築とか現場マネジメント系の人だったらクリティカルチェーンとかですかね。

9月はクルマが売れる時期らしいんで、乗り換えのタイミングで選択肢に入ってくるよう前倒しで進めましょう。ネットの定常運用に間接効果があるように (指名のCPOは安いので)、期間の前の方に認知拡大施策を入れときました。

 

ターゲット

この資料の使い方として、上司だけでなく広告代理店やREP、PR会社などに渡すであろうことそ想定してターゲットを書いておきます。

この時注意したいのは、「サービスのターゲット」と「プロモーションのターゲット」は別である、ということ。ということ。サービスのターゲットが全体で、部分集合であるプロモーションのターゲットは包含されます。

この辺、適宜口頭で補足しないと誤解を生みますので注意。

 

メディアバイイングにおいてはもっぱらデモグラフィックなセグメントだけでいいんですが、動画等のクリエイティブやコピーライターに渡す情報としてはもうちょい欲しいかな、と。

今回、ネタ記事のためにわざわざ作るのもめんどくさかったので過去に作った資料を転用してそれっぽく仕上げました。

クルマや不動産のような購買タイミングが限られているのですが、そこには家庭の事情や生活の変化、代替手段との関係性などがあるので売り手は関与できません。なので「左から右」のパーセプションチェンジにアプローチしましょうよ、ということを書いてみました。

「コロコロ」とか書いているのはこれでこれで意味があるのですが、もっぱら差別化の話で今回の趣旨ではないので省きます。

 

クリエイティブに関する基本的な方向付け

代理店や制作チームに渡すために、クリエイティブのおおざっぱなディレクションを書いときます。

 

私はクリエイターではないし、芸能界にも疎いので、この辺は正直よくわかりません。

ただ、POとして「こういう意図で企画してっから、こういうとこは抑えといてくれよな!」的な部分は伝えといてあげないとクリエイターが困るかな、と。

ターゲットとこれがあればだいたいは作ってくれるんじゃないでしょうか。

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■今やってることを手伝ってもらうのに必要なスキル

  • 営業戦略の立案と遂行
    • オンライン施策 (主にtoC)・オフライン施策 (主にtoB、法人開拓や代理店開拓含む)
    • コストアロケーションの最適化
    • 有望なセールスチャネルへのテストマーケティング企画と実施、開拓
  • AdWords, スポンサードサーチ等の運用
    • キーワード、クリエイティブ、セグメントの設計と運用改善
    • マーケティング・動的リマーケティングの設計と運用改善
    • tCPA, tROASなど運用自動化へ移行するためのプランニング能力
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    • メディア向けの企画とリクルーティングの推進
    • 成果確認
    • 直接契約メディアとのやり取り

■今後必要になりそうなスキル

  • 新規・潜在ユーザーとのコミュニケーション開発
  • 利用中ユーザーとの良好なコミュニケーション開発
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  • 戦略PRの企画と推進
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■NOREL事業部のオススメポイント

  • 長野でリモート勤務しているエンジニアがいるので、朝会はオンライン!電車が苦手な人も!
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  • ダッシュボードが必要な際にはPythonを書かされる!新しいスキル習得に!
  • UIの修正が必要な時は Vagrant から Intellij までエンジニアが入れ方を教えてくれる!自分で勝手になおして!
  • UXの改善が必要な時は、事業責任者に一声かければ勝手にやっていい!
  • 会社が合わなくて退職しても、双方合意すれば業務委託で働き続けられる!長続きしない人にも!(会社非公認)

超短期でのオペレーション業務立て直しメモ

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お世話になっております。
NORELの直人です。

先日、「事業責任者から、CS担当になりました」というエントリに記載したとおり、もっぱら先週まではがっつりオペレーションとCSの部分を見ていました。

NORELのオペレーション・CSは正社員の他にアルバイトや時短社員を含む小規模な組織で、スタートアップということもあって暗黙知も多く、経験豊かなメンバーが回しているものの整理・効率化されているとは言い難い状況にありました。

今回は約2週間程度と期間を区切って、できるだけの改善しました。小規模なチームの運用改善はGREE時代にメディア事業の立て直しを経験していたこともあり、混乱はあったものの比較的手戻りなく進められたと思います。

誰かの役に経つかもしれないので、書ける範囲内で流れをメモしておきます。

前提

以下のような組織の業務効率化 (ひいてはコスト削減) を、2週間という短期間で行う。

  • 10名未満の小規模なチーム
  • 運用は回っているが、業務は忙しく稼働率は常に100%近い
  • 担当しているサービスは立ち上げ期で変更が多く、業務フローの変更が頻繁
  • 暗黙知が多く、誰かが抜けると混乱が生まれる

流れ

  1. 状況把握
  2. 改善
  3. ずっと改善

 

1. 状況把握

何はともあれ、まずは現状を把握します。以下のようなことをします。

  • 担当者ヒアリング (1on1)
  • 業務内容の網羅的で定量的な把握
  • 業務フローの把握

1-1. 担当者ヒアリング

担当者ヒアリングは重要です。業務改善が目的ですが、精神状態やストレスの確認、人間関係などを見ます。もちろん、何をやっているのかといった具体的な業務内容をヒアリングします。

また、実務上のキーマン・意思決定上のキーマン・精神的支柱となる人物を探します。これは「だれの話を聞くべきか」を決定する上で重要です。基本的に、忙しい組織に属するメンバーは「他人のことはよく見えているが、自分のことは正しく判断できない」ような状況にあります。

今回のケースでは、ヒアリングの中で「あいまいな意思決定 (判断すべき人間が即断即決しないために問題解決までの時間が伸びる)」「暗黙知の弊害 (担当性をしいていたために、担当者欠勤時の引き継ぎなどがうまくいかない)」「アラートの欠如 (作業の抜け漏れを検知できない)」などの問題が浮かび上がりました。

また、チームメンバーは疲れており、担当者の増員を祈る状況になっていました。通常、利益に直結しない間接部門の増員は改善をやり尽くしてからになるため、建設的な改善策が進んでいない状況では増員要望は「祈り」に近いものになります (要するに、人を増やしてもらえません)。

1-2. 業務内容の網羅的で定量的な把握

続いて、業務内容を定量的に見ていきます。

忙しい組織の改善なので仕事を増やさないことが大前提となります。「業務量を定量的に把握するから、毎日仕事内容を細かく報告してください」のようなやり方では現場は反発し、時間がかかり、忙しい状況がより悪化します。

今回は、①キーワードや期間毎にメールのやり取りを分析する (Gmailの検索演算子が便利)、②担当者が業務で入力しているスプレッドシートを集計する、③電話の通話履歴からインシデントあたりの通話時間を見る、といった方法を採りました。

もう一つのポイントは、最初から深掘りしないことです。まずは全体像を広く浅く調査し、深掘りするポイントを決めます。問題がありそうなところを手当たり次第に見て、順次解決していくと、重要な改善点が後回しになり、時間のロスが生まれることになります。

結果的に、通常の業務フローに含まれない外部からの質問や問い合わせが非常に多く業務を圧迫している実態や、個人間の業務量のバラ付き、ミスによる手戻りが処理時間を増加させ、スタックすることで時間を追って雪だるま式にタスクが増えている様子などが把握できました。

1-3. 業務フローの把握

業務フローを把握します。

ここでのポイントは、マニュアルや管理画面など実際のツールを使って、実務の流れを順に追っていくことです。担当者にとっては当たり前の仕事でも、「なぜこんな非効率なことを!?」「これはあとで忘れそうだ・・・」など外部の人間ならではの気づきがあります。非効率な仕事には、そうならざるを得ない歴史的な背景があることが多いのですが、「今となっては必要のない、慣習的な流れ」を排除していくことは簡単かつインパクトの大きい業務改善になります。

NORELのオペレーション業務では、在庫車両の保有者・納車店舗・整備工場・行政書士・コーポレート部門などのステークホルダーが多いため、連絡と進捗確認が多く発生し、複数顧客のフローがパラレルで進行する非常に複雑な流れになっていることがわかりました。

 

2. 改善

課題をおおよそ把握したら、改善に取り掛かります。重要なのは、運用フローを止めないことです。

クラウドのシステムをいじる時は二重化して裏側で作業し、改善作業が完了したら一瞬で切り替え、その場でチームに告知する。表現は現場の用語を使って話し、正確さにはこだわらない。例えば、NORELのオペチームは「印鑑証明と車検証登録の委任状」のことをセットで「謄本」と表現する。一般的に謄本というと登記簿謄本を表すが、そんなことにこだわるよりも郷に入っては郷に従うのがスムーズだ。

改善点は、重要度とコスト (改善にかかる時間やお金) の二軸で評価し、重要かつコストの安いものから着手していく。

2-1. 意思決定

即効性があり、成果の上がる改善は「意思決定」で済むものだ。特に「やらないことを決める」のは時間的なコストがゼロで、効果もあがります。

「それはやらなくてよい」

「必要だけど、今じゃない」

「それは外部化しよう」

ヒアリングや文書でのやり取りから、オペレーションチームの意思決定は慎重で正確さを求めるリーダーのもと十分な材料と時間をかけて吟味されてきました。意思決定がされないまま、保留にされている改善点や、「必要ないとは言い切れない」というような曖昧な判断から、結果的に現場担当者に丸投げされているものもありました。

そういったものを即断即決に変えるだけで現場はずっとスムーズに回り始めます。「みんなで話し合ったけど答えのでないもの」などもリーダーが決断すべき事項。ただし、「現場で判断すべきこと」までリーダーが判断してはいけません。そういった場合「どっちがいい?」「◯◯さんの判断で決めていいよ」と決断を促すようにして、「その重要度までは、あなたが決めるべきものだよ」という基準を伝えていきましょう。

 

2-2. 定量化の自動化

分析のフローで作業の定量化を行いましたが、改善のプロセスではそれを自動化します。改善作業を仕組みとして永続化するためです。

自動化といっても難しいものではなく、業務でExcelを使っていればそれを集計するシートや関数を作ればよいですし、メールならフィルタなどの設定で時間をかけずに行えます。

ただ、NORELの場合は業務フローが複雑だったため業務で使っているシステムの改善は非常に苦労しました。あるデータを、暗黙的に別の事業部で参照しており、依存関係が壊れると業務に支障をきたしたり、裏側でプログラミング言語が絶対参照しているせいでフロー改善にテストやデバッグが必要だったり、といっった地雷が至る所にありました。

今回は、私が元々プログラミング経験があったことから自分で全て修正しましたが、業務とシステムを両方わかる人間がいない場合はエンジニアが業務を理解しながらやるのがよいでしょう。エンジニアは物事を抽象化したり、共通化したり、整理したりということを日常的に行っているので、こういった業務を行うにはうってつけの思考回路をしている人物も多いはずです。また、無駄なことがキライな気質もプラスに作用するでしょう。

一方で、オペレーターのような「物事を、正しく、正確にこなす」ような考え方は業務改善には不向きです。そういった人は、複雑なものを複雑なまま、正確に仕組み化したりしてしまうでしょう。

 

2-3. 「チェック」の自動化

日々の仕事が自動的に生成されるようになったら、抜け漏れやすい業務にアラートを入れていきます。

「◯◯の作業をしてから、◯◯日間ほったらかされていたらアラート」

「名義が◯◯名義の時は、◯◯のフローにいくため関係ない業務をブラックアウト」

こういった、条件分岐やルーチンはシステムが得意な部分だ。現場に、普段どんなことを気にしているか、これまでどんなミスがあったのかをヒアリングして、できる部分からどんどん自動化しましょう。

こうすることで管理者の仕事も楽になります。

「◯◯さん、◯◯の業務が◯日遅れているね。どうしようか。」

「◯◯さんに業務が集中しているから、だれか手伝ってもらえないかな。」

といった判断が容易になります。

また、業務量や期間が可視化されると、現場もスピードに意識が向くようになります。漠然と「最近仕事が多くて忙しい、なんとかしなきゃ!」と思っている状態から、「◯◯の仕事が◯◯件もある!早くしなきゃ!」「さすがにこれは無理だ、上司に報告しなきゃ!」という判断ができるようになります。上司も、部下が漠然と忙しがっているより、数字で見えた方が経営にリソースをリクエストしやすいでしょう。

 

2-4. 優先順位を決める

スタートアップに限らず、どんな事業でも常に人や予算といったリソースが潤沢にあるわけではありません。限られた予算の中で、顧客満足や事業の収益性を最大化するために、どこに注力すべきか。何に注力しないのか、を決める必要があります。

これもマネージャやリーダーの仕事です。

NORELのオペレーションチームは、顧客満足の最大化を重視するあまり、サービスにほとんど関係のないような質問にまで徹底的に回答するような文化をもっていました。これ事態はすばらしいことですが、結果として、お金を払ってくださるお客さまへの対応がなおざりになるようではいただけません。

作業の優先順位を明示し、サービスを必要としない方へのサポートは大胆にカットしました。

 

3. ずっと改善

ちょっとは落ち着きましたが、まだ終わらない。

日々改善、改善、改善。です。

 

やってはいけないこと

安易にやってはいけないことを、思いつくだけ挙げてみます。

  • コストの単純な外部転嫁
    • 間接部門の業務改善でありがちです。つまり、中の人の作業を減らすために、外の人の作業を増やす、ということ。以前勤めていた会社では「社用携帯電話の紛失管理が煩雑だから、携帯をなくしていないか、毎月持ってきてもらおう」という施策をやりました。管理部門は楽になりましたが、大勢の社員が毎月報告書を書いたり、管理部門に赴いたり、トータルコストはむしろ増えました。C向けビジネスでは中の人の手間を増やすためにユーザーの仕事を増やすなどで、これは論外です。
  • 根本解決
    • 「これは根本的に業務フローを作り直す必要がある」「システムを作り直す必要がある」など。完璧主義なマネージャや、コンサルタント、エンジニアなどは不完全な業務フローを許せないためこのような提案になりがちです。業務改善は「素早く、確実に」やる必要があるため、このような長期施策を行うとしても平行して場当たり的でも短期改善を行うべきです。
  • 馴れ合いと予定調和
    • これは私もすごく苦手なのですが、無駄を省く過程ではメンバーや業務委託、外注業者などをばっさり変えないといけないことがあります。こういう意思決定だけは、外部のコンサルタントになったつもりでドライに動く必要があります (精神的には人事が一番疲れます) 。

最後に

およそ2週間とちょっとの間、プロモーションやマーケティングをほとんどほったらかして、オペレーションやカスタマーサポートに注力してきました。

これまでは現場に任せていた、興味を持ってくださったからの質問にメールや電話で直接答えたり、クレームに発展させてしまったお客さまに謝罪したり、クルマの専門的な質問へチームのみんなの力を借りながら回答したりしました (とにかく手が足りなかったので)。

短い期間でしたが、ある程度の合理化と、注力すべき部分の選択と集中、組織の最適化はできてきました。ただ、これはあくまでも大きな問題がいくつか片付いただけで、引き続き運用改善の努力を続けていかないといけないのは言うまでもありません。

 

この仕事を通じて、オペ・CSの人たちがNORELというサービスにとってどれほどかけがえのないのかがわかりましたし、お客さまがどんな気持ちでサービスを見ているのか、リアルな肌感も得られました。

 

サービス改善という意味では、まだマイナスをゼロに近づけている段階で、ゼロからプラスの領域に早く持っていかないといかんな、と改めて強く感じました。

納車日を、最短24日からもっとずっと短くする。必要な書類をもっともっと減らす。入力の手間を短くする。審査を簡単にする。検査を徹底する。不要なコストを下げることで必要なメンテナンスをもっと充実させる。やるべきことはまだまだあります。Car as a Service として、クルマ本体よりもむしろこういった付加価値がサービスの価値になっていく。

 

これらを実現するには、今回紹介したような実務的なプロセスも大事なんですが、それ以前に「意識」。そういう意識をチーム内に育んでいかないといけない。自分は、実はそういう「人」や「気持ち」に関することがとても苦手で、これまで割りと避けてきた部分がある。これからはちゃんとそういう意識についても表現していきたいと、考えています。

 

最後にですが、そういう部分を引き受けてくれる、顧客満足責任者的な、サービス向上責任者的な人を探しています。想定年収600万くらいかな。われこそはと思う方、いらっしゃいましたらぜひご連絡ください。

事業責任者から、CS担当になりました

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昨年10月頃から、NORELの申し込みが加速度的に増えており、オペレーション業務が逼迫してきた。

事務局コンサルを入れて業務効率改善を目指したり、人のやりくりをしたりでなんとかしのいできたが、1月〜2月の予約数はこれまでの伸びを遥かに超えるものでこのままではヤバイ!という状況にまでなった。

事業責任者である私は、これまでプロダクトマネージャとしての仕様策定、オンラインマーケ、法人営業やアライアンス、PRなど、「売上UP」へ直接つながる領域を主に見てきたが、今月からはその部分を他の社員に任せ、カスタマーサポートとオペレーションのリーダーをやっている。

触ってみてはじめてわかること

実際に業務改善に着手してみて実感するのは、NORELを支えてきたオペレーターの凄さだ。

自動車を顧客に提供するというのは、非常に手間がかかる。高価な車両を顧客に預けることができるかどうかを判断する審査に始まり、顧客だけでなく陸自行政書士・店舗・警察署・保険会社などと連携しながら車庫証明自賠責、任意保険、謄本申請といった書類業務とそのチェック、各種税金の申請、整備手配に必要な整備工場とのやり取り、WEBサイトに記載された車両情報と現物に相違がないかどうかのチェック、相違が合った場合は修理したり、代わりのクルマを提案したり。車検が切れている場合は車検を通すために何度もやり取りが増える。

高級車や輸入車はメンテやチェックもコストを考えながらやっていかないといけない。整備工場はたくさんある。どこが何に強くて、ラインの空き状況はどうなのか。車両の準備をしながら、輸送の手配。提供エリアが全国に広がったので、コストを抑えつつ、スムーズに顧客のいるエリアへ手配するために多くの配送業者を統括する陸送チームとの連携が必要だ。

クルマはひとつひとつ、構造も状態も違い、それに合わせた個別の対応が必要になる。

SLAを担保するのも難しい。例えば、掲載されているクルマが「アルミホイール」と記載されていても、実はホイールキャップをかぶせただけ、というものもある。クルマに興味のない人にはどうでもない違いに思えるかもしれないが、ここに惹かれてその車両を予約する、というお客さまはいるので、事務局では、「アルミホイールと書かれているが、本当にそうなのか」などをチェックするプロセスがあり、そのための担当者がいる (もちろん専任ではないけれど)。

問い合わせ対応も、サービス内容に関する基本的なことからはじまって、車両に関する専門的なもの、保険、税金、決裁方法と多岐にわたり、オペレーターが覚えなければならないことは膨大だ。

 

自分たちの価値を伝えられていなかったという反省と責任

「NORELは高い」

これは、お客さまからいただく最も多いコメントである。

私がいうのもなんだが、車両価値だけを考えれば、買った方が安い。だけどNORELは「Car as a Service」。サービスなんだ。

これはローンを組んで人生を縛られ、代わりに資産を所有するのとは性質が根本から違う。

「高い」と言われる原因のひとつは、クルマを少しでも早く、効率よく顧客の元に届けるために頑張っているオペレーションチームのみんなの付加価値と努力を、きちんと顧客に伝えられていなかった自分の責任だと、とてもとても反省した。

NORELのオペレーションをやっていると、事故や盗難、債権回収や裁判に至るまで、精神的に重い、大変なこともたくさんある。自分も担当してみて、その膨大な作業量や、コミュニケーションコストにたじろいだ。

でも、ここをやりきってこそ「サービスとしてのクルマ」を適正価格で顧客に届けられるんだと思う。

苦しいけど、やるしかない。こんな素晴らしいオペレーションが生み出すサービスが認められないなんて、あってはならないんだ。

事業計画作りの要点

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19新卒インターン向けにまとめた。

数字より数式を見る出資者はあんまりいないと思うんだけど、ビジネス回す側としてはちゃんと使えるものを作っておいた方がいいと思ってます。自己流なんで、会計基準とかフレームワークとか無視してます。

大企業になると、EBITAで減価償却とか法人税とか求められるけど、まあ需要があって売上たったらそこから考えればいいんじゃないかといい加減に考えている。

スタートアップにおける、マルチタスクの落とし穴

お世話になっております。
IDOMの直人です。

先日、「スタートアップの基本戦略 (NORELの場合)」みたいな香ばしいエントリをアップしました。NORELユーザー向けではない、チームやステークホルダー向け広報的な内容を出すのはどうなんだろう、とも思ったのですが、トライアルとしてやってます。

同エントリの中で、こんなことを書きました。

最近まで、自分で広告運用をしていたので目線が戦術レベルまで下がっていたと反省しました。NORELのようなスタートアップでは運営のごく少人数で意思決定していかなれければならないため、戦略的視点と戦術的視点をそれぞれ混同しないように意識しながら、試行錯誤を続けていかないとな、と気を引き締めています 。

これ結構、危険なレベルだったと反省してまして、気づいた時には早急に広告運用をチーム内のメンバーに渡すと共に、意識的にパートナーとの会話や経営層とのすり合わせを増やしました。

何がそれほど「危険」だと感じたのか

リスティング運用の当初目的

元々、広告 (もっぱらリスティング広告なので、以降その前提で書きます) の運用はランディング後KPIのチューニングを主な目的として始めていました。NORELは新しいモデルである上に、説明が必要な商材で、かつ単価も高い。世の中の認知・理解が進むまではROAS はまず合わないだろうと思っていました。

ランディング後のKPIチューニングというのは、広告メッセージとランディングページで説明する内容の整合性チェック、初見ユーザーの理解は想定どおり進んだのか、会員登録や予約フォームなど、初期リリース仮説から粗々のままで放置されているフローの改善、などなど。

KPIチューニングにはそれなりの量のトラフィックがないと改善施策の効果を確認できないので、まずはコントロール可能な安いトラフィックが必要だった。

これが当初のリスティング運用目的でした。

自前でリスティングを回すまで

リスティングの運用は、当初代理店さんにお願いしていました。ごくわずかな予算でスタート。

IDOMの本体はインターネット広告で70億くらいかな、回しているので代理店手数料も安いんです。通常、百万円程度のボリュームだと代理店のフィーとして30%くらい取られるのですが、そこが破格にやすかった。

なのでまあ、お金のないスタートアップとしては、代理店さんにお願いするのが自然な判断でした。

自分で運用を巻き取るまで

代理店さんは、少ない予算のNOREL広告運用を快く、スピーディーに対応してくださいました。運用メンバーのいなかったNORELにとってはこれは非常にありがたかった。今でも感謝しきれません。

一方で、運用の方はなかなか思ったようなペースで数値の改善が進まない。これは当然で、代理店さんの手数料率が低いので人をはれないんですよね。

なので、IDOMに常駐 (くらいしょっちゅう見かける) してくれているGoogleさんの手を借りながら自分で回すことにしました。私はGREE時代にサプライサイドの広告運用も片手間でやっていたため、基本的な知識はありました。

キャンペーン数を減らし、広告グループを需要ごとに切り直し、開発チームでブレストしながら広告クリエイティブを作りなおして、運用開始するまでで1週間くらい。

2週間くらいで成果は出ました。CPCで40%程度、コストが下がったのです。

水は低きに流れる

そこまではよかったのですが、思惑通りトラフィックの獲得効率が改善したことで調子に載ってしまった。運用型広告が楽しくなってしまったのです。

毎日のように管理画面をチェックし、入札単価を調整したり、クリエイティブを追加したり。CPCが50円を切り、適用効果が逓減しても事業責任者でありながら広告のチューニングをずるずると続けていました (当然、他の仕事も進めていたのですが)。

まずいことに

その後2ヶ月くらいたったころでしょうか。社長との事業戦略会議で、「短期施策をネットに寄せすぎ」と一刀両断され、失敗に気づきます。

他にやる人がいなかったから、というきっかけではあったのですが、自分が広告運用を続けることで「失敗したな」と思ったのは以下の点です。

  • 自分のマインドシェアに占める、ROASの割合が大きくなる
  • とりやすいトラフィックを取りに行ってしまう
  • 事業戦略が顕在ニーズに対して敏感になる

自分のマインドシェアに占める、ROASの割合が大きくなる

当初、そう簡単にCV (成約コンバージョン) は出ないだろうな、と思って取り掛かったのですが、予想に反してCVが出てしまった。「案外、可能性あるかも」と思ったんですね。

そうすると、KPIチューニングがゲームのように楽しく思えてくる。

表示順位やimpを調整したり、クリエイティブを工夫したりすることで数字を上げるために色々腐心するようになる。

当然、事業責任者がこんな戦術レベルにいつまでもかかりきりになってはだめですよね。戦略の幅は狭くなってしまいます。

とりやすいトラフィックを取りに行ってしまう

広告運用をしていると検索ボリュームが多い需要、CTRが高いクリエイティブが特定できてきて、徐々に配信比率やクリエイティブのワーディングがそちらに寄っていきます。

CVの低い事業ではこれがかなり危なくて、ROAS運用 (成約獲得の費用対効果をKPIにする) に到達するような広告予算が割けないため、CPA運用 (中間CVの達成率をKPIにする) や CPC チューニングに終始してしまう。

つまり、成約に紐付かない、筋の悪いチャネルに最適化してしまうミスに気づかないことになるのです (私がアホだからですけど)。

事業戦略が顕在ニーズに対して敏感になる

上記と関連するのですが、顧客は広告クリエイティブで判断して流入しますから、当然顕在化しているニーズの方が反応はいいです。NORELで言えば、例えば「乗り換え放題」よりは「29,800円から」みたいなワードの方が反応はよい。

ただ、代替手段でまかなえている顕在ニーズへの反応で獲得できたリードはCVしない。その場合、リードを顧客化するにはどうしたらいいのか。

顕在需要を満たすサービス、つまり「クルマ買いませんか」や「残クレで安くクルマに」のような既存の代替手段を提供してあげればよいのです。新規サービスではなくて。

これは全く持っておかしな話で、本末転倒の極地というか、新規事業をやっている意味がない。ただ、事業責任者は毎日数字に追われていますし、日々の広告運用によって十分に近視眼的になっているのでこの誤りに気づかないのです (これも私がアホだからなのですが)。

更に悪いことに、自分はサービスを「こういう方向にしよう」という際にそれなりの権限があるので、間違った判断を実行に移してしまうリスクさえあった (実際、この自分の中でねじれた無駄な問答に随分悩まされました)。

ともかく、気づいてよかった

まあ、そういうような状況で、社長や経営陣といった大局的な目線の方々から真っ当なご指摘をいただき、ようやく抜け出すことができたわけです。

この経験から以下のようなことを学びました。

  • 戦術の執行は、楽しくても、不安でも、だれかに任せなければならない
  • 考えていることはアウトプットし、定期的に自ら客観的に見つめる必要がある
  • 考えていることはアウトプットし、自分の中の「ねじれ」を第三者に指摘してもらう

スタートアップらしい、独善的な価値観と、それをプロダクト・マーケットフィットへ導く客観性を、高いレベルでバランスさせるというのは思っている以上に難しい。

今回の経験を通して、もう一度戦略の意義を再確認したし、同時に任せることの重要性を痛感しました。なんでもやらなきゃいけないのが責任者だけど、目線は常に高く持たないとだめだなぁ。

冒頭に書いた通り、お客さまのためにならないものをこういうところにしたためるのもどうかと思うのですが、チームに考えていることを共有し、ひいては間違った方向にプロダクトが進むのを阻止するため、たまに書いていきたいと考えています。

スタートアップの基本戦略

お疲れ様です。
NOREL事業担当の直人です。

最近、改めて "伝統的な" 事業戦略を勉強しています。事業を推進していると、どうしてもサービスの目先の数字やタスクに追われ近視眼的になってしまうのですが、事業戦略という一歩引いた視点からNORELを見つめ直すことにより、目の前にある課題やタスクに筋の通った意思決定ができるな、と戦略の重要性を再確認しています。

経営層への説明や、チーム内でのコミュニケーションを取る上でわかりやすいと思ったので、本エントリでは「NORELの基本戦略」について、一部おさらいしてみようと思います。

前提

NOREL開発チームメンバーが読むことを前提に書いているので、使われる用語について軽く説明しておきます。

「競争の戦略」という経営戦略の有名な本を書いた、マイケル・ポーターという有名なおじさんの戦略論を前提にしています。IDOMの前身であるガリバー・インターナショナルは2006年に「ポーター賞」を受賞しているので、聞いたことがあるかもしれません。

ポーター先生は「ファイブフォース」「3つの基本戦略」「バリューチェーン」といった概念で有名です。

基本戦略

先生は、「企業の戦略は様々なものがあるが、細かなものを取り払ってしまえば、基本類型は一般に3つに収斂する」と主張したそうです。

 

その3つの類型が「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」です。ちなみにここでいう「差別化」は「付加価値が業界平均よりも高い」という意味で、マーケティング用語の「製品差別化」「価格差別化」といった「他社と違うこと」とは異なるものです。

ポーターは、これら3つの戦略は相容れないものであり、戦略的にはっきり割り切った企業の業績が優れていると主張しました。シェアが最大のプレーヤーと、小さくセグメントされた特定市場に集中したプレーヤーの収益性が高く、中途半端なプレーヤーは利益をあげられない、というものです。

NORELの基本戦略

NORELは、現在のところ「差別化戦略」を採っています。つまり広いターゲットに対して、差別化されたサービスを普及させることを指向している、ということです。

これにより価格のラインナップが当初の49,800円から増えていること、人気のない車種でも掲載し続けていること理由を説明できます。NORELは「乗り換えたり返したりすることが自由」、つまり「究極にスイッチングコストの低いクルマの所有方法」であることをコアバリューとしており、クルマや価格そのもので勝負していない、ということになります。

コスト・リーダーシップ戦略とNOREL

2016年8月、リリース当初のNORELはコスト・リーダーシップ戦略を採っていました。

すなわち、「買うより安い」「ポルシェに月額49,800円で乗れる」というものです。戦略にもとづき車両調達が行われ、ポルシェ以外にもベンツのSクラスやテスラなど、リリースのラインナップには高級車が並びました。

ただ、修理1回で100万円以上、オイル交換でさえ5万円以上かかるクルマを、49,800円で提供するのはとても難しい。2016年12月、NORELはコスト・リーダーシップから差別化へ、戦略転換を決めました。

今でも、「買った方が安い」「当初の価格でポルシェを出して欲しい」というご要望をいただくことは多いのですが、恐らく当面の間は「買える方は、買った方がいいと思います」というご案内になると思います。

NORELの付加価値は気軽さとフレキシビリティ、つまり所有と比較した場合の柔軟性 (まとまったお金が不要、ローンを組まない、いつでも返せる・乗り換えられる) であり、その付加価値を提供するためにはどうしても低価格で勝負することはできないのです。ただ、前述のようなご要望をいただくにあたり、前述の「付加価値」をしっかり伝えられていないのは事業部の力不足だと受け止めています。この部分はもっと伝える努力を続けてまいります。

また、利便性や簡便性を維持するため、「保険料込み」というスタンスも維持しています。保険料を外出しすれば見かけ上のコストを安くできますが、気軽さや自由を阻害する要因を増やすことはポリシーに反する、という考え方です。

本節の最後に、他に類のない付加価値を維持しつつ、一層コストを下げる努力、サービス品質を上げる努力を惜しまないことも、念のため申し添えておきます。

集中戦略とNOREL

NORELにとって、ターゲットの選択は非常に悩ましい問題です。クルマという、国内8000万人 (台) が利用される巨大な市場でどこを対象と捉えるのか。

「ファミリーでは?」

「法人でしょう」

「クルマ好き!」

「ライフスタイルの変化だから・・・結婚・出産を控えている層とか?」

様々な切り口で、様々なターゲット論が出てきますが、一旦「クルマを所有している人たち全体」と対象の市場自体は大きく捉えています。

もちろん、具体的な戦術レベル (マーケティングやセールスの施策レベル) ではSTPな設計が不可欠ですが (予算に限りもあるので) 、事業戦略レベルでは大きくおきたい。サービス設計は広く、マーケティングは狭く、というのが現在の方針です。

マーケティング施策は2017年6月くらいから、様々なターゲットに対して少しずつ受容性テストをしてきましたが、このところようやくいくつか相性のよいセグメントが見えてきました。戦術面の最適化は喫緊の課題であり、まだまだこれからという感じです。

最近まで、自分で広告運用をしていたので目線が戦術レベルまで下がっていたと反省しました。NORELのようなスタートアップでは運営のごく少人数で意思決定していかなれければならないため、戦略的視点と戦術的視点をそれぞれ混同しないように意識しながら、試行錯誤を続けていかないとな、と気を引き締めています 。

まとめ

まとめます。

  • NORELは、広いターゲットに対して、高付加価値なサービスを適正価格で提供する戦略を採っています
  • NOREL利用料は「買うより高い」ですが、その分「自由で気軽」です
  • NORELの市場は「所有」で、ターゲットは「所有することによってロックインされたくない人たち」です
  • マーケティング・セールス上のターゲットは施策の効率化のためにより細かくセグメントされるべきであり、引き続き試行錯誤していきます

事業開発の実務 - 業務提携・アライアンス

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「直人さん、知り合いのツテ、全部頼んでみたけどダメでした・・。」

「まじか。なんて聞いたの?」

「○○できませんか?って。そしたら即答で ”やってません” 、って・・・。」

「バカヤロウ (たけし風に)」

 

毎度お世話になっております

新規事業開発のお仕事紹介、今日は「アライアンス・業務提携」編です。

事業開発に際して、規模が大きかったり、参入障壁が高かったりする場合、自社単独での遂行が難しい場合があります。また、ビジネス全体からみて専門性の高い一部だけどうしても自社ではまかなえないとか、特殊なケイパビリティ (企業固有の組織能力) が必要となったりした場合に、こちらから必要な能力を有する企業に対してアライアンスを持ちかけることになります。

※「アライアンス」というと、複数企業による大規模なパートナーシップをイメージする方が多いと思いますが、ここでは単に「提携」というような意味で使っています。

 

決めやすい提携・決めづらい提携

あなたが所属する企業が有名で、競争力があればあるほど、業務提携は簡単な仕事になります。合理的な内容であれば、提携先は喜んで基本方針に合意し、条件面での調整がメインになるでしょう。また、販促におけるタイアップや、販売代理店契約のように、業界慣習として一般的な提携も同様に提携の敷居は低いと思います。

 

新規事業での提携は難易度高い

今回のテーマである「新規事業」となると、よほどのことがない限り簡単に話がまとまるということはありません。

プロジェクトオーナーが有名な大企業であっても、新規事業の提携難易度は純粋にプロジェクト予算によって変わります。時価総額1000億円の企業がオーナーでも、プロジェクト予算が1億円しかないのであれば、資本金1億円のベンチャー企業とだいたい同じように見られます。

プロジェクト予算が小さいことで提携が難しくなる理由は、純粋に提携先のメリットが小さくなるからです。時価総額1000億円の企業が、主力事業における提携で主導権を握れるのは、彼らが何十億〜何百億という予算を持っており、提携先はその投資の恩恵にあずかることができるからにほかなりません。予算1億円のプロジェクトは、提携先に「その1億円のうち、いくらくらいがこの提携に割かれるの?インパクトあるの?」という目で見られます。

 

提携先のメリットを考える

提携を考えている時点で、相手には自分たちが持っていない、なにかしらのリソースやケイパビリティがあることになります。また、提携が成立した際に得られるメリットは明白です。

例えば・・・、子供向け教育アプリを作りたい。とします。

自分たちは「アプリ開発」という能力があるが、「作問 (問題を作ること) 」という機能は教育機関 (主に大学) やIR機能を有する企業 (塾、通信教育事業会社、出版社) などが有するケイパビリティであるため、提携を結びたい。

こんなケースでは、提携先が持つユニークな能力 (作問) と、提携が成立した時に得られるメリット (アプリ開発ができる) が明確です。一方で、ここまでの情報では提携先のメリットはないと言ってよいでしょう。

 

このように、提携を申し出る側は常に「提携の理由」と「提携のメリット」を自覚して動きますが、提携のオファーを受ける側の「理由」や「メリット」は意識して考えない限り勝手に生まれてくることはありません

 

メリットのない提携話

 まさかと思われるかもしれませんが「メリットのない提携話」というのは、ぜんぜん珍しくないです。30分くらいお話を伺ったあとで、「御社の強みと意図はよくわかりました。それで、この提携はうちに何のメリットがあるんでしょうか?」という質問に答えられず詰まってしまう。双方、貴重な時間を使ってのMTGでこんな結末はあまりにも悲しすぎます。

 企業のブランドや、巨大な予算があればそれでも成立するかもしれませんが、新規事業での提携はただでさえ難易度が高いので、上記のような基本を抑えていないオファーは一蹴されてしまうでしょう。

 ロールプレイの不足、とか資料の作り込み、という問題ではなく、それ以前に相手の立場に立って考える「想像力」がポイントになります。

 

手順

 ケースバイケースではあると思うのですが、私の場合「提携が必要になった」という場合にこんな順序で事を進めることが多いです。

  1. IR資料やインターネットニュース等で、提携先の課題を調べる
  2. 自社の手持ちリソースから、提携先の課題解決するソリューションを探し出す
  3. 正しいアプローチ先を見つける

 

提携先の課題を調べる

 相手のメリットを考えるのに、まずは調査が必要です。

 上場企業との、大きめの提携であればIR資料、特に決算説明会の説明資料がざっくりとした状況把握には役立ちます。こちらの立場が強くアグレッシブな提携であれば伸びている箇所、こちらの立場が弱ければ伸び悩んでいる箇所を調べます。

 今回は立場の弱い新規事業での提携なので、伸び悩んでいる箇所を見つけ、ソリューションを提示するという前提で話を進めましょう。

 まず、花形事業部や業界のトップは避けるようにします。拡大期の事業は投資対効果が証明されており、スピードを優先する傾向にありますので小規模な提携はまず受け入れられません。相手のビジネスにとってのインパクトを考える、という意味で、ここでもやはり「想像力」を働かせましょう。

 また、提携先の課題を調べるという意味ではニュースや業界誌、イベントなども役に立ちます。ここでは、個々の企業の課題ではなく、提携先が所属するビジネスドメイン全体のトレンドを把握することができるでしょう。

 例えば、出版、自動車、教育、医療、それぞれの業界が直面している変化や、新規参入の脅威、テクノロジーによるイノベーションなどは提案に際して非常に役立ちます。5Force や PEST などのフレームワークが観点の洗い出しに役立つでしょう。

 

提携先の課題を解決するソリューションを見出す

 課題解決というと大げさですが、要するに「なにでお役に立ちましょうか」というブレストです。提携先が、提携を受け入れてくれるためには以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 売上が上がる
  2. コストが下がる
  3. 顧客満足度が上がる

 「イメージアップで売上に貢献!」とか、「認知度UP!」みたいな間接指標への貢献を謳ってもいいのですが、KGI (要するに KPI の大元) から遠ざかれば遠ざかるほど「めんどくさ」と思われやすくなります。相手が集中して話を聞いてくれる、もしくは資料を見てくれるのはほんの最初だけなので、わかりやすくシンプルに作りましょう。

 新規事業を企てるような皆さんでしたら、個人の能力とか、資金とか、アセットとか、技術力とか、何かしら強みがあるはずです。ベン図の論理積を探しましょう。

 ここで行き詰ったからといって、生煮えのまま相手先に持っていってはいけません。当然商談は進まないですし、場合によっては「仕事のできない人」「時間を無駄に使わせる人」という印象を残すことになります。

 

正しいアプローチ先を探す

 提案ができたら、正しいアプローチ先を探して持っていきましょう。

 先ほど、提携先の課題を探す際に「花形事業を避ける」と書きました。一方で、成長が頭打ちになっている「過去の花形事業」は可能性があります。そのような状態が2期〜3期続いた企業では「新規事業開発」のチームや部隊ができている場合があります。チームができていな場合でも、「社長室」などに経営者の腹心が、単独もしくはごく少数でうごいているケースがあります。そのようなケースでは会社としてイノベーションを求めている時期なので、直近の成果より中長期のインパクトを求める新規事業の提携は受け入れられる可能性があります。

 また、FacebookTwitter などで提携先の「変わり者」を探すのはよい方法だと思います。サラリーマンは、知識と経験を詰めば詰むほど保守的になります (というようなことを奥山清行さんが言ってました)。

 新規事業との提携は、結果が不透明なので保守的なサラリーマンには嫌がられる可能性があります。イノベーションを好む変人はどこの会社にも必ず数名はいますので探しましょう。そういう人間は社内で煙たがられていることも多いので、同じ会社の人に聞けばすぐ教えてくれることもあります。

 

提携したい旨を伝える

 ここまで準備し、ライトパーソンとの面談に望むのであれば、あとは熱意とロジックです。先方のメリットだけをただひたすら伝えましょう。自分たちのメリットに言及してはいけません (自明だから)。相手側から「そんなことしてもらっていいんですか?」と聞かれた時に「だいじょぶです」くらい言っておけばいいです。

 

陥りやすい罠

 ここまで、もっぱら要するに「相手の立場になってオファーを作る」「準備する」というようなことを書いてきました。最後に、思いつく範囲で自分が過去にやってしまったミス、ハマった罠を列挙しておきたいと思います。

人の顔を潰す

 提携先候補とつながるにあたって、知人の紹介を使うことも多いと思います。知人に繋いでいただく場合は、より入念に準備をしましょう。自分がつまらない提案をしてしまうと、紹介してくれた人に迷惑になります。自分が凹んでもいいですが、他所様に迷惑をかけるのは絶対によくないです。ご縁を大事にしない人に、次のご縁は巡ってきません。

文字の多い資料、複雑な図

 提携のオファーのような、どう転ぶかわからない資料にやたら情報を詰め込むのはやめましょう。MTGの場では、ざっくり意図を理解してもらうのが目的で、その後のディスカッションで正解を模索していくことになります。読むだけで疲れるような資料は効果的ではないと思います。

縁故だけに頼る

 知り合いの紹介、というのは案外あてにならないものです。「だれかいい人いないー?」と聞いて回るくらいになると、聞いた相手が自分の課題を深く理解していないためミスマッチがおきます。人を頼る時は、その分野に明るい人を数名に絞って丁寧にコミュニケーションしましょう。

 

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終わりに

と、いうわけで新規事業の仕事紹介ですが、いかがでしたでしょうか。まあ、よくわからないことをしでかそうとしているので、何にしろコミュニケーションは大事なんですが、相手の気持ちをおもんばかる「想像力」というものにも、併せて目を向けていただければと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

誰か助けて!実録、ヤバいWEBサイト改善レポ

お世話になっております。
IDOMの直人です。

わたしが担当している NOREL はスタートアップなので、業績管理はもちろん採用やアライアンスといった対外的な仕事から、サイトの微修正や宴会する店の予約といった雑用まで、専任がいないところ、手が足りないところはマネージャの自分が全部やります。

今日はその中から、サイト改善の仕事内容をレポートします。だれか助けてください。

NORELのトップページは改善の余地だらけ

いやー、こういう生の数字出しちゃっていいんですかね。我ながら。

直近1週間のNORELのトップページの状況です。
そうなんです、直帰率が高いんです。

 

ずーーーーーっと後回しにしてたUIカイゼン

担当者なので当然この状況は知ってたんですが、昨年12月にアサインされて以降、緊急度の高いタスクが山積みだったもので、ずっと放置してきました。特に、ソースコードの総入れ替えは、終わるまでUIいじれないので、まあ仕方ないと。

ようやく手を付けられる環境が整ってきたのでやります。

 

トップページの役割

NORELはクルマのサブスクリプションという、ちょっとよくわからない事業モデルなので、訪れたお客様に「おれにはカンケー無いね!」って思われないことが大事かな、と。

正しい顧客に正しく情報を伝えて、下のファネルにつなげるってことですね。訪れている時点で何かしら思うところがあったはずなので、コミュニケーションのミスで機会の価値を毀損している可能性を疑います。

 

UIカイゼンにおける、事業責任者の役割

私は UI や UX の専門家ではないので、良くする仕事は社外のパートナーや社内のだれか得意な人にお願いするんですが、当然それらの人はNORELのことやその問題点についてよくわかっていないため、事業サイドからしっかりとインプットする必要があります。

さっきからペタペタ貼ってる画像はそのオリエン資料です。内部・パートナー用なので、Google プレゼンテーションの適当なテーマを使ってます。見た目に時間かけてられないですからね。

設計段階で相手が開発者だとワイヤーフレームまで作ることもありますし、prott みたいなツールを使うこともあります。今回は情報設計、つまりメッセージをインターフェースに落とし込む部分を専門家に依頼するという趣旨のオリエン資料なので、問題意識や現状を正しく伝え、あるべき姿 (UI) については依頼先に考える余地を残す、というフォーマットを意識します。

 

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オリエンの内容 (抜粋)

「任せるからイイ感じに直しといてー」で、ちゃんとやってくれる人もいるんですが、今回は初めて複数の相手に相談するので、現状課題と思ってることを伝えます。

 

現状、不満に思ってること

今のトップページ、ファーストビューはこんな感じ。

おしゃれですね。

自分が12月に引き継いでからほぼそのままの状態です。このモデル画像の利用権が8月に切れるのでそれまでに直さないと。

ビジュアルでコンセプトを伝えよう、という狙いが明確なファーストビューです。画像が、左から右に時系列で進んでおり、ライフスタイルの変遷を表現しています。一方、「モデルが同一人物である」という認知が前提となっており、注意深く見ない訪問者には意図が伝わらない可能性を否定できません。

また、テキスト入力できないテキストボックス風パーツ、クリッカブルに見える「>>」アイコンなど、パーツの表現は直感的ではありません。

 

仮説だし

とりあえず、「こう思ってんだけど、あなたプロとしてどう思う?」っていうUIデザイナーに対する問いかけで資料を作っていきます。

タグラインとバイライン

キャッチとショルダー、とか言ったりしますけど、そういうヤツです。

「クルマを自由に着替えよう」はすごくイイと思うんですよね。でも、初めて来た人にはそれだけだとこのサービスがなんなのかわからないだろうな、と。なので「おれこう思うだけど」っていうのを追加してます。

相手はプロなので、自分みたいなシロウトが提案するのは正直はずかしいんですが、ヘタクソでも当事者としての課題感を含めてちゃんと出した方が相手も応えてくれる気がします。

 

ファーストビュー直下のもったいないスペース

お知らせ欄。これモッタイナイだろ、と思ったので書いておく。

デザイナーにこだわりがないと、ほんと書いた通りにしかやってくれないこともあるので、最悪このまま実装される覚悟で書く。

 

メインビジュアル

次、メインビジュアル。私は感性がポンコツなのでこういう苦手なところはほぼ任せてしまいたい(笑)

でも、それだけだとデザイナーさんがどんな雰囲気にしたらいいか迷うので、「こういうイメージで」というのは伝えておく。

電通のブランドアイデンティティ検討フレームワークを使ってます。

阿久津聡先生・石田茂先生の名著「ブランド戦略シナリオ 〜コンテクスト・ブランディング」という本に詳細のってますので、こういうの好きな人はどぞ。ブランドというモヤっとしたものを構造的に理解させてくれるいい本です。

よく、「こういう雰囲気がいい、という他社のサイトあったらURL教えてくれませんか?」って言われるんですが、提出すると、ヒネらずそのまんまのイメージで反映されることが多いです。バチッとイメージ会うサイトがあれいいんですが、そうじゃなければ出さない方が無難です。

 

機能訴求

次は、現状トップページでついつい目の行く金額部分。

安いサービスだったらいいんですけど、そうでもないので価格だけ出してどうこうなるものじゃない気がするんですよね。なのでそれをそのまま書いておきます。どうレイアウトに落とすかはデザイナーに任せる感じで。

このままだと「そしたら結局なにを伝えたいんスカ」とデザイナーに言われるので、先読みして補足資料 (別添か、Appendixとして資料後半にまとめる) を作っておく。出だしはこんな感じで・・・。

ここでヒネりやデザインいれちゃうとデザイナーの思考の妨げになる (ような気がする) ので、シンプルに。ただ、文字の大きさで情報のヒエラルキーは伝える。ちなみに、この時点ではまだ打ち出す側の仮説なので、今後A/Bテストをやって検証していくことになる。主張のあるデザイナーだと、まずここでぶつかるけど、そういう人の方が結果いい仕事をする気がする。

 

ポジショニング

併せて、代替手段に対するポジショニングが定まっていれば伝えておきたい。

事業の戦略考えるフェーズで ポジショニングマップ やら SWOT やら、何かしら作ると思うのでそういうところから適当に抜粋する。相手はデザイナーなので、難しい言葉を使わず、情報量もできるだけ削ぎ落とす。小さな文字の小難しい資料があったとしても、伝わらなければ自己満足に過ぎない (特に力作は)。目的を果たせるようTPOによって資料をリヴァイスする一手間が大事。

NORELは、最初のコミュニケーション設計をミスって「高級車に安く乗れるサービス」と認知されているので「安くないよ、むしろ購入と比べると高い。その代わりに自由で気軽なんだよね」みたいな運営側の意図をちゃんと伝える。相手のデザイナーも一般ユーザーと同じバイアスを受けるので、意識して修正してもらわないと同じミスを重ねることになる。

 

データ系

ほんとは「GAの権限渡すんで、見て適当にやっといてください」ってできると楽なんですけど、情報セキュリティだったり、受け手の専門性だったりでそうもいかないので、情報をかいつまんで出す。

これは、ヘッダーの新規とリピートのクリック率。こういうのを挙げた上で「新規の方向けに尖らせといてください」というとデザイナーが情報考えやすいんじゃないかと。

 

全部書くわけにもいかないので、抜粋で。
改めて見ると現状のトップページはほんと導線少ないな・・・。

 

運営の推しポイントを伝える

リリース済みのサービスなので、現状のお客様からのフィードバックとか、利用属性とかをコンパクトにまとめて別添の資料を作る。

 

デザイナーに相談する時に

デザイナーへ伝える情報量は、多ければ多いほどいいと思うんですけど、ドカッと渡すと「うわ・・・、なんか大変そうな仕事だな・・・」という印象を与えてしまって、謎に見積もりが跳ね上がることがある。

逆に、情報が少なすぎても「丸投げかよ、こりゃ手間かかりそうだわ」となって高くなるパターンも。関係性できてれば話は早いんですけどね。

運営側の、シロウトなりのこだわりも必要なんだけど、こだわりすぎるとプロの良さをシロウトの感覚で消してしまったりする。

いずれにせよ、ひとりでやるのはそろそろ限界感じてます。。。
得意な方、ぜひ手伝って下さいませmm

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もっとスタートアップのように働こう

NOREL を運営する IDOM は大企業だ。
だけど NOREL はスタートアップだ。

 

大企業で働く私が、「もっとスタートアップのように働こう」とつくづく考え直したきっかけは2つある。

  1. 大企業の環境は、コスト感覚を寛容にする
  2. 制約を解決する能力が低下してくる

 

どういう環境からの所感か

背景から説明しよう。

NORELは上場企業がチャレンジする新規事業なので、例えば主力事業についている何十億円といった広告予算、といったものはもちろんない。だけど、決裁ベースではあるがスタートアップがシリーズAでやっと調達できるくらいの予算を前提に動いている。バランスシートはすでに数億円規模だ。

優秀な人材、あれば便利な素晴らしいツール類、広告・制作・マーケティングなど当社の基幹システムを支えてきた外部の卓越した専門家たち、どれもこれも魅力的だ。そしてどれもこれも金がかかる。

 

「ROIをしっかりと見定め、戦略的に投資しなければならない」

 

どこかのコンサルのセミナーみたいだ。そういう戦略家もまたべらぼうに金がかかるが、それはおいておいて要するにこのROIとかいうヤツ、言うは易く行うは難し、ということである。「スピード」が前提にあるからだ。

複雑なことを手早く処理し、たくさん試し、一番先に答えを見つけるゲームを私達はしている。

 

計算機は役に立たない

この事業にアサインされた2016年12月、自分の目下のタスクはビジネスモデルの改善とシステムの正常化、それに加えて開発チームの体制構築、コアメンバーの再配置。それが落ち着いた半年後の現在は在庫調達に始まって、SLAの確立、パブリシティ、ROASのベース算出とエリア拡大計画、そしてアライアンスと目が回る。

そのひとつひとつについてROIの算出!?とてもじゃないが計算機の出る幕ではない。情報収集と経験で最短で処理していかなければならない。仕事はマルチタスクだが、クリティカルパスは1本しかない。そこにつながる何かが遅れれば成長と達成が遅れるのだ。

 

このような状況において、金で解決できる問題はどうしても頼りたくなる。顧客や人材やパートナー、金銭ではどうにもならない課題が山積みだからだ。そして上場企業の周りには、魅力的な、値札の付いた魔法のランプがゴロゴロしている。そうやって金に頼るようになる。頼ると任せるようになり、「任せた」つもりで待ち受けているのが思考停止の罠だったりする。

 

NORELチームは健康だ

幸い、NOREL事業はまだそこまでやばくない。ここでもやはり生きてくるのは経験だと思う。うちのチームには、スタートアップやベンチャー経験者、そして貧乏人 (クルマにお金使いすぎ) が多いのだ。

 

「その見積もり高いっすよ」

 

NORELチームのメンバーは、IT系ベンチャー経験者も、クルマ屋も、出費に対して事あるごとにそう言う。彼らは別にケチなわけではない。単に「原価を知っている」だけなのだ。そしてその「原価」の中には、「自分」という彼ら自身の能力も含まれる。それに加えて素晴らしいことに、NORELのメンバーは皆とんでもなく優秀で、何をやらせても相当に早い。そして「外にそんなに金だすなら、おれが土日にバイトでやりますんで投げてください」という。

 

スタートアップのように働こう

自分でやってみた体験が一番のモノサシ

タイトルの「スタートアップのように働こう」というのは、ひとつは「自分の手を動かすことを厭わない」という決意だ。ベテランが昔の仕事を思い出しながらやるのも、知らない領域をググりながら暗中模索でやるのも、最初はおっくうだがやってみると悪くない。発見と学びがあり、事業に貴重なフィードバックがある。

ただしこれは、自分でやる方が早い場合に限られる。必要な出費をケチって品質やスピードを犠牲にするのは本末転倒だし、NORELチームに所属するプロフェッショナルの稼動コストは安くない。

どれだけ広く見て、どれだけ深く考えるか

ふたつ目は、制約の中で試行錯誤しよう、ということだ。必要は発明の母であり、制約はニーズを浮き彫りにする。今現在、選びうる選択肢の中に答えがあるとは限らない。わかっていてもいちいち調べるのはめんどくさいものだ。

制約というのは、結局ゲームのルールとして受け入れるかどうかの問題でしかない。一度腹をくくってしまえばやるべきことが見えてくる。

今は「必要十分」でいい

みっつ目は、「過剰なものを求めないようにしよう」ということ。

むやみにクオリティを追求したくなる気持ちを抑え、買い物は必要最小限に留めよう、といういうことだ。我々はスタートアップであるからして、例えば牛乳は低温殺菌牛乳ではなく普通の牛乳。例えば有機栽培ではなく普通の野菜、といった買い物をする。高いものはうまいし体にいいのだが、キャッシュフローを破壊してまで求めるものではない。

神は細部に宿るのだが、限界効用は逓減することもまた、私たちは知っている。

 

メリハリをつけよう

一方で、私達は顧客体験を守るためには利益度外視でお金を使っている。クルマを修理するため、月49,800円のサービスにも関わらず30万円を超えるメンテナンスをしたり、我々のサービスが至らずクルマをお届けできなかったお客様にお詫びとして自腹で高級車を提供したりしてきた。

お客様を悲しませずに済むのはとてもうれしいが、一方で出費としてはとても痛い。とてもとても痛い。だからお金に頼ったフォローをしなくてもご満足いただけるよう、しっかりとサービスをよいものに一刻も早くしていかなければならない。

終わりに

今回は完全に意識高い系の気付き系ポストだったが、自戒系の意味も含めて投稿してみましたであります。NORELではエンジニア、デザイナー、あとはビジネス回す人たちとかPRとか色々募集してます。ぜひよろしくお願いします。

社畜の組織論

我々、企業で働く動物にとって、組織のレベルはとても大切だ。ざっくり以下のような段階がある。

 

社畜:管理が行き届いている状態

動物園:個性や多様性が認められている状態

サファリパーク:自律的な行動が認められている状態

野生:商いを通じて市場に没入している状態

 

動物にとって、社畜とはスタート地点であり、レベル1である。すべての動物はワイルドのために戦い、成長しなければならない。

 

入社した全ての動物たちに、「IDOM はなんてワイルドなんだ」と言われたい。

 

 

IDOMでいう ”動物” は、要するに中途の変人枠

エゴで仕事する

サラリーマンとして仕事をするなら、上から指示を出されてそれをなるべく高いパフォーマンスを出しつつこなすような仕事が楽でいいな、と思っている。

プログラマ時代はそういう仕事が多く、それでも身につくことがあり楽しかった。しかし人間、30歳を超えるとだんだんとそういう仕事の割合は減っていく。自分で具体的な目標設定をしながら、与えられた裁量の中で成果を出さなければならないタイプの仕事が増えてくる。

 

前職最後の名刺の肩書は「編集長 / コンサルタント」だったが、この「編集長」という方の仕事は、使えるリソースが全くない中で、自分の時間とツテを駆使し、管理するブログメディアをなるべく有益なものにし、会社に貢献せよ、というざっくりしたものだった (私の場合は)。

多くの事業推進でも、上司がゴールへの正しい道順を知っているはずもない。こういうアバウトな投げ方をするのは至極当然だと思う。

 

そのような、「具体的な目標や手順を与えられない仕事」を推進する場合、自分はできるだけエゴでやるようにしている。「エゴ」という表現が身勝手や我儘な印象でよくないならば、「自分ゴトにする」と言い換えてもいい。

 

「自分の感性や主義、理想など」と「与えられた目的、仕事のビジョン」とに接点を見いだせないと、どこかで推進力を失うものだ。全く仕事が進まないわけでもないし、成果がでないわけでもないが、踏み込みが甘くなる。うまく表現できないが、自分にとってその仕事が切実だったり、意義があると感じられないと長期に渡ってモチベーションも維持できないし、ドライブ力も落ちてくる。

 

この、「自分と、与えられた仕事との、接点」を、私の場合は「構造に対する怒り」として見出すことが多い。ソーシャルメディア礼賛をやっている時は、”個々人を軽視したり、発信を抑圧する情報流通や経済に怒り、そこにパラダイムシフトを興すことを大義として” 仕事をしていた。

感じ方の問題だけではなく、ある程度意識的に自分をそういう考えに持って行かないといけない。それをせずに ”仕事だから” と客観的に納得して始めることは簡単だが、それだと根っこの部分では他人事なので、長くは続かない気がする。自分の感性と仕事との接点を見つけたら、 ”この業界はこうあるべきだ、こういうことをすべきだ、そのプロセスのひとつがこの仕事だ” と一人称で考えられるように自分に言い聞かせたり、煽ったり、鼓舞したりする。この時、「人」に対して怒ってはいけない。仕事を憎んで人を憎まず。構造やプロセスといった、自分が関与可能なものだけに怒りを集中する。

どう思い込むにしても、一人称なので、完全に正しいことはない。否定されることもあるが、元々意識的に刷り込んだものであれば、間違いを認識した時に修正することはそれほど難しくない。それよりも、自分ごととして、前のめりに、ある時は他の意見を否定することも辞さないくらいに強く信じることの方が難しい。

 

高速なジョブローテーション、要するに仕事や目的が頻繁に変わる環境下では、このようなある程度時間のかかる、深いモチベーションを自分に根付かせるのは骨が折れる。一方のメリットとしては、それがある程度限定された環境下であれば、より本質的な、抽象的な段階での理解を深めることにつながるという点が挙げられるだろう。

 

「お金儲け」というのはシンプルでベーシックな意義で、消費者の満足度が適正であればひいては公益につながるんだと思う。ただ、そういうあまりにも基本的なもので自分をモチベートし続けることは難しいし、共感を生まず周囲を巻き込むこともままならない。

これから自分がやろうとしていることにどういう意義を見出すのか。刻々と変わる状況の中で自分の方針がブレないためにも、なるべく深いところまでたどり着きたいと思う。

 

 

 

AppStoreのトップ10を、過去2年に渡って振り返ってみた

早いもので、私もグリーに入社してから4月で1年になりました。入社2ヶ月で配属先部門が消滅し、その後部署異動・チーム異動が計7回。荒波に揉まれつつも、なんとか生きています。

 

さて、時の流れは早いね、ってことでAppStoreの売上げランキングトップ10を、過去2年に渡って並べてみました。

 

■AppStoreトップセールスランキング  2012年4月〜2014年3月

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出典:AppAnnie 

 

パズドラすげーーーってのは当然として、それ以外は割と入れ替わるものですね。

 

カードゲーム一辺倒から、一瞬LINEカジュアルゲーム祭りを挟んで、その後ブレフロやウィズ、チェンクロなどに入れ替わってきた感じでしょうか。

 

最近、スマホゲーム業界のみなさんからお話を聞く機会が多いのですが、開発費・プロモ費の高騰にはみなさん頭を悩ませているようです。とは言え、入れ替わりのチャンスもあり、市場全体も大きくなってますからね。次の潮流はどんなものになるんだろ。

 

iPhoneアプリのライフサイクル

ついでにちょっとしたデータを。

 

過去23ヶ月間(当社で把握できる最長期間)、1度でも150位以内に入ったiPhoneアプリ663タイトルの月次推移を眺めながらアプリのライフサイクルが気になったので調べてみました。

【期間中の最大売上】:【150位以内にランクインできた月数】
$1M以上      : 平均12.65ヶ月
~$500T      : 平均9.82ヶ月
~$300T      : 平均7.80.ヶ月
~$200T      : 平均8.24ヶ月
~$100T      : 平均6.01ヶ月
※継続中が含まれる点は要考慮
※売上が低くても継続月数が長いタイトルは傾向ありそう

 

まずは1年持ちこたえるのが大事、って感じなんですかね。パズドラ、単車の虎、不良道、関ヶ原演義、新戦国バスター、チョコットランド、太鼓の達人、ミリオンアーサーなんかが長寿(?)タイトルとしてあがってきましたが、売上規模はまちまちです。

 

ARPUで長寿、高ARPUで短命、みなさんがプロデューサーならどちらで設計しますか?

「10時間で事業計画を作れるか」2日目

グリーで、「フロンティア部」という部活をやってます。

きっかけは、入社してからやってた調査レポートを社内でプレゼンしたところ、「そういうカテゴリやりたかったんだよー」という人が集まったから。今は50人ちょっとくらい。ROMの人もいるけど、まあほそぼそとやってます。

私は新規事業やりたい人のお手伝い、という感じで、自分では作らない。悪い言い方をすると「みなさん、新規事業やりたいんだったら自分で計画やらプロトタイプ作ってみてちょ」と口先だけで応援する立場。

これはまあ、部の出自からの流れなので仕方ないんですが、あくまで「部活」なのでみんな営業時間外に、自分の時間を削ってやってるわけで。それって大変だろうな、と思うわけですよ。

それでまあ、「やってみてね」というからにはできることじゃないといけない、というか無責任にもほどがあると思うので、業務時間外に事業計画書できるのかできないのか、自分でもチャレンジしてみようと思いました。

1日1〜2時間。仕事が終わった後を使って平日頑張る。5日でなにか作る。

 

1日目

さて、どんな事業の計画を作ろうか。まあ、チャレンジなのでわかりやすく、なおかつ見た人が「ああ、こういう感じなのね」と言ってもらえるくらいが目標かな。特別な調査をしなくても、最初からそれっぽいデータが無料で手に入るやつがいい。

 

なんのネタもなく、みずほ総研さんのサイトを訪れてみた

データというと矢野経済とか富士キメラ総研とかが思いつくけど、とりあえず無料で読める範囲ではボリュームがあって、人に話した時に納得してもらえそうなもの、ということでみずほ総研さんのレポートを探してみようかな。(会社に色々なレポートがあることはあるのですが、それは使わないルール)

いろいろレポートがありますが、中身をいちいち見ている暇はないのでファイルサイズが大きいやつで、あとはタイトルを見て適当に決めよう。

 

これにしました。

 

2013年I号:[特集 わが国のサービス産業]わが国サービス産業の生産性~2000年代後半の企業データを用いた生産性動向と高生産性企業の特性分析~(1020 KB)

 

1Mもあればすごい詳しく載ってそうだし、「生産性」って書いてあるからどこに転んでもITが活躍する余地はあるよね。みたいな。

とにかく時間がないが、とりあえず要旨を読んでみる。

 

なになに、サービス産業・製造業3,000社あまりの財務データを用いて、サービス産業全体における生産性の動向を分析した資料。すげー、こんな資料が無料で読めるんだからインターネットって素晴らしい。

 

で、我が国のサービス産業では2000年代前半に生産性が低下し、2000年代後半に上昇。どちらの変化も業界の新陳代謝ではなく既存企業の生産性の変化による、と。業界の新陳代謝による影響が少ないだけならまだしも、新陳代謝自体がない、というオチになるとビジネスの可能性どころじゃないな・・・。不安になってきました。

えーと、続いて、生産性が高い分野の特性を分析したと。上昇の要因は有形資産やソフトウェア資産、人的資本に対する投資、企業統治の透明性などが重要、と。なんかIBMとかSAPとか、大手の匂いがしてきましたね。新規事業のスケール感なんですけど、まあ、一般的なIT企業の初期投資としては1億円も出ないケースが多いんじゃないだろうか。受託開発やってた時の価格感からしても、3000万くらいを念頭に置こう。このまままじめに読み進めても、億単位でお金かかるビジネスしか示唆されていないような気がしたので、一気に読み飛ばしていきます。

 

・・・

 

特にピンとくる情報もなく終わってしまった・・・。テーマのスケールが大きすぎると、30ページ以上ある資料でも大ざっくりした内容までしか触れられないなんて、ちょっと考えればわかるのに。自分の馬鹿さ加減がいやになってきた。いくらチャレンジとは言え、たったひとつの調査レポートに事業のネタを求めるのは無理があったかもしれない。

 

ここまで、ブログ書きながらで30分くらい無駄にしました。

 

庶民の味方、Google先生を頼って

今、ちょうど時間は深夜の0:30。開始してまだ30分だけど、もう飽き眠くなってきた。。。あと30分がんばろう。

 

やっぱり色々な候補見て迷いたいよね!ってことでGoogleへ。いままでそんなことしたこともないけど、「密かなブーム」を期間指定 ”1ヶ月以内” 検索してみる。

 

おおお!なんかそれっぽいじゃん!
怪しい提案書にありそう!!どれも!!!

 

女子にブームっていうとやっぱりいいんじゃないか。「エロメン」特集は信頼の日経トレンディ様。記事を開いてみると、今回の要チェックワード は「1. エロメン」「 2. リタ・オラ」「 3. EDM」「 4. じぇじぇ!」。

さらっと読んでみたところ、普通に勉強になりました。EDM、電文形式かと思ったらぜんぜん違うものだった。

 

とりあえず、一番なさそうな「推し(自重)」にしよう。・・・と思って記事みたらひどかった。声優だから横隔膜だと思ったのに・・。この内容じゃ無理だな・・・。やめよう。

「醤油スプレー」は個人的にすごく好きだけど、スケールを広げられる自信がないのでパス。

 

そうすると、「梵字」か「かわいい名刺」。まあ、ベタに名刺にしよう。最近ミクシィさんでも写真集アプリが人気だってことだし。同じ印刷系で。

 

1日目終了

今、8月20日0:50。開始してからもうすぐ1時間が経過しようとしております。

とりあえず新規事業のカテゴリは「かわいい名刺」に決まりました。どんだけ需要があるのかわかりませんが、事業計画書では「Phase2でビジネスシーンにも参入」とか、「次のステージで名刺を軸にしたコミュニケーションサイトを展開」とか大風呂敷の広げようはあるだろうからもうこれでいいや。

明日はこれをこねくり回して事業の骨子を決めようと思います。

 

2日目

朝の部

2日目は8:15頃から開始。

 

さて、随分乱暴ですが「密かにブームなかわいい名刺」で事業計画書を作ってみることになりました。「すでに密かじゃないw」とか「やってるところたくさんあるだろw」とか、色々な突っ込みが聞こえてきそうですが気にせず行きたいと思います。

 

オンラインで名刺の注文を受け付けるビジネスは、確かにすでに色々ありそう。そこで何か新しいことをするとしたら、当然既存サービスとは違うことをしなきゃいけない。

 

以下のどれかだろうと考えました。

  1. 超安い
  2. 超素敵
  3. 名刺を作るという体験自体が超素晴らしい

また、きっかけになったのはNAVERの「かわいい名刺」記事なので、主に女子を念頭にビジネスを考えます。

 

超素敵な名刺って?

とりあえず、一番考えやすそうな「超素敵」名刺を考えます。「素敵」の基準は色々あるんでしょうけど、人それぞれならその人本人に任せましょう、ということで「名刺のデザインは自分で作っていただく」ことにします。

「かわいい名刺」を欲しい女の子って、たぶんみんな Instagram とか LINEカメラ とかで撮った写真加工したりしてるでしょ。あと食べ物の写真もいっぱい持ってそう。何かしら素材はあるんじゃないかと。

InstagramFacebookAPI公開してるし、その辺から裏面の画像素材を取得して、表面は入力してもらえばいいよね。

 

「超安い」 or 「作る体験自体がすばらしい」

「超安い」はあんまり儲からなそうなので除外。

 

「作る体験自体が素晴らしい」は作る過程で考えることにする。

今提供しようとしてるのは、全部裏面の柄が違う、自分が撮った写真、自分で加工した写真で作る名刺なので、作る過程も楽しくすることはできそう。

 

名刺の原価っていくら?

と思い、Googleで「名刺 原価」を検索。以下のような記事を見つけた。

この機械(きりっ子)は価格が271,800円 (税込 285,390円)となり最初の投資となりますが、効率よく使っていけば回収も早いでしょう。

名刺100枚の材料原価は、、、

ケント紙10枚・・・100円
ケース    ・・・ 26円
印字代    ・・・ 10円

合計        136円

200枚としても236円の原価です。定価を3000円に設定すれば100枚で原価率は4.5%200枚でも7.8%です。利益率としては大きいと思いませんか?

で、これを送料無料とします。名刺はメール便で送れますので全国80円です。

25.あまり誰もしていない儲かる名刺制作営業」より

 

なるほど、2011年の記事なんですが人件費や減価償却を考えないとこんなもんなんですね。 名刺の原価については思ったよりたくさんの検索結果が出てきた。他の記事を見ても大体100枚で300円程度。原価率50%くらいに設定すればハイグレードなものも作れそう。

それと、作り方。A4用紙に名刺のデザインを10枚並べて両面印刷。裁断するというシンプルな工程。そういえば、ベンチャーに勤めてる時にそんな光景見たことあったな。

初期投資を抑えたければ、定価の7割くらいで外注しちゃってもいいかも。ニーズがあるかどうか確認するまでは利益ゼロでも構わないわけだし。

 

ビジネスのイメージが見えてきたよ

現在8:42。すでに30分くらい使いました。

作るのは、裏面のパターンが10種類。自分で加工した写真素材をあしらった素敵な名刺。写真撮影やエフェクトは InstagramFacebook などに任せる。SnapDishなど、料理のシェア用に撮った画像も有望。スイーツ名刺とかね。可能なら、APIでつなぎこんで画像を取得し、テキストを入れて簡単発注。2日で届くことを目指す。

調べてる途中で、いくつか似たようなコンセプトの競合も見かけたので、競争優位みたいな細かいこともぼちぼち気にし始める。

今日はあと30分〜1.5時間くらい使おうかな。

 

メモ

電車に乗っている途中で思いついたのでメモ。

「自分の名刺を裏面違いで10種類」もいいけど、「同じ裏面で、友だち5人分の名刺を2枚ずつ」も素敵じゃない?と思いついた。

普通に考えたら、配るっしょ。

 

 あとまあ、今考えてるだけだと市場小さすぎますよね。今考えてるようなお客さま、たぶんあんまり名刺使い切らないし。うーん。法人営業。。。まあ、そのうちなんか思いつくか。

 

2日目・夜の部(酒が入る予定なので更新できるか不明)

 

 

 

 

新規事業の志ある仲間、集まれ! "フロンティア部" 活動レポート

お疲れ様です。グリーの直人です。

仕事としてインターネットに関わっている人であれば、だれでも一度くらいは「自分の手で、新しいネットサービスを作り上げてみたい!」という思いに駆られたことはあるのではないでしょうか。とはいえ、何事も言うは易く行うは難し。思いついたアイデアをきちんとビジネスとして軌道に乗せることは決して容易ではありません。

それでも、自分のアイデアや企画で新しいビジネスの立ち上げに挑戦してみたい!という情熱あふれるメンバー達が、グリー社内で立ち上げた部活動が「フロンティア部」です。
※会社公式の活動ではなく、あくまでも有志による自主的な活動です。グリー株式会社の事業や、戦略とは一切関係ありません。

4月の発足以降、これまで「新規事業評価の観点を探る(第1回)」、「事業計画書の分析(第2回)」「ITビジネスの未来を考えるトークセッション(番外編)」と活動してまいりました。今回は通算4回目となる機会に行われた、企画コンセプトのプレゼンテーションの模様を紹介させていただきます。

少しでも、同じような環境にいらっしゃる方の刺激になれば幸いです。


企画コンセプトのプレゼンテーション大会

今回のプレゼン大会は、コンセプト段階ということもあり発表は10分と短く設定しました。その代わり、プレゼンが終了する度にオーディエンスが3人1グループになってアイデアの印象や疑問について話し合い、出てきた意見を元に発表者とディスカッションをするというインタラクティブな形式にしました。

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肯定的な意見も、否定的な意見も含めて第三者からのフィードバックをもらえる場に、発表者も大いに刺激を受けたようです。それでは、さっそく披露されたアイデアを紹介していきましょう。


参考書を分解し、再定義する。というアイデア

最初の発表は、ヒューマンリソース本部の内田 潤青さんが企画した「100万もん」。受験生や資格取得を目指す大学生・社会人のための新しい問題集の提案です。

内田さんは当初、コミュニケーションを軸とした教育プラットフォームを考えていたそうですが、掲示板や教え合いのコミュニティー、参考書販売や学習履歴管理など何でもありな内容でした。グリー社員へのヒアリングとディスカッションを繰り返すうちに、問題を通じて学習者と参考書の発行者をつなぐことに特化したプラットフォームビジネスへ方向性を切り替えたそうです。

構想では、過去問のデータベースを構築し、回答者のレベルに応じて最適な問題が次々と出題される仕組みとのこと。未来のくもん式を連想させますね。マッチング精度を向上させることで、将来的には学習教材ビジネスの流通プラットフォームを担いたいと語りました。


女子の釣りブームが来る!......かもしれない!!

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二番手はビジネスオペレーション本部の中川めぐみさん。「大漁!魚ギャルグリ船丸(たいりょう!うぎゃるぐりせんまる)」というインパクトのあるプロジェクト名で聴衆の関心を集めました。

中川さんによると、ここ数年女子の間で釣りがひそかなブームになっているのだそう。水産庁公認の「ウギャルプロジェクト」や「デコ竿」なんてものもあるそうです。しかし、釣りといえばコアユーザー層は中高年の男性。男性に特化した釣り業界のマーケティングが、女性が始める上での障壁となっていると中川さんは分析しているようです。

中川さんの提案する「ギャル × モバイル × 釣り支援」サイトは、業界の固定観念を打ち崩し、女性向けを突き詰めたECサイト。ゆくゆくは情報メディアとして「釣りコン(釣りをきっかけとした合コン)」や「釣りツアーあっせん」などのビジネスにも広げていきたいと語りました。

会場の参加者とのディスカッションでは、新しい市場の創出とは違って、潜在ニーズの刺激と開放ということであれば、調査や検証がしやすいだろうという堅実な意見が見られました。中川さんは、以前、女性専用のバー経営でテレビに取り上げられるほどのブームを仕掛けたやり手の実業家。そして彼女と一緒に企画を進めるパートーナー社員は、現在通信キャリアとの渉外を手がけている全く違うキャリアの持ち主。まったく違う個性を持った二人が、潜在ニーズを拾い上げて、どのようなサービスやビジネスに仕立てあげるのか大変興味深いところです。


視覚に訴えかければ、「歴史」はもっとおもしろい

続いての発表者は事業戦略本部の鴨林 広軌さんです。プロジェクト名は「歴史地球儀」。アイデアの元になったのは2008年に公開された以下の動画だそうです。

World Battleground, 1000 years of war in 5 minutes(外部リンク:YouTube

動画に触発された鴨林さんの着想は、「Google Mapsのように、データを座標にマッピングしたサービスは多数存在するものの、そこに時間軸を加えることで全く新しいことが実現できるのではないか」というものでした。そしてその膨大な手間を「ユーザー参加型」モデルを採ることで解決しようというのが企画の全体像です。

鴨林さんは、なんとすでに製品のプロトタイプまで用意してきてくれました。プロトタイプで技術的な実現可能性を示す一方で、参加者とのディスカッションで争点となったのは「プロダクトの育て方」です。例えば、Facebook APIを使ってデータをインプットする。その場合、「人類の歴史」ではなく「友人間の、30年スパンの歴史」になるといった案がでました。

マーケティングと資金計画、ビジネスモデルを詰めていくことで、一層魅力的なプロジェクトになるのではないでしょうか。今後が楽しみですね!


コンテンツビジネスにおける、お金の流れを完全に変える

続いての発表者はADプロダクト企画部の設楽 秀輔さん。設楽さんはアジャイル開発のエヴァンジェリストで、多数の書籍も執筆しているその道では著名な人物。企画タイトルは「投資革命」。コンテンツファンドのCGMといったらわかりやすいでしょうか。力の入ったプレゼンテーションで参加者を圧倒してくれました。

設楽さんは、日本人が投資的な感覚を持たないのは歴史的な経緯があるといいます。コンテンツビジネスにお金が回らないとか、クリエイターが得られる報酬が安すぎるなどの問題があれば、それは金融の問題だということです。一方で、日本人には自分の好きなもの、気に入ったものには考えられないほどのお金を使うという側面があると指摘しました。

そして設楽さんは、多くのIPを抱え、コンテンツホルダーと連携しながらプラットフォームビジネスを行ってきたグリーならば、その問題を解決し、革命を起こすことができるという主張を展開しました。

システムには、複数のソーシャルゲームやアニメ、出版等のさまざまな企画が並んでいるイメージです。ユーザーは「これは!」と思う企画に投資し、資金が集まったら開発が始まり、事業成果に応じて株式でいう「配当」にあたるキャッシュバックが行われるというものです。KickStarterなどのクラウドファンディングは事業が成立したら物品や体験型報酬をフィードバックする「体験型・参加型EC」と呼べるものですが、設楽さんの構想は「お金の流れ」を変えるもっとスケールの大きいものです。

もちろん、スケールが大きいだけに関連法規や実現可能性などケアしなければならない部分も多いのでしょうが、多様な業種からさまざまな才能が集まるグリーならばそれらの問題を乗り越えていけると信じているそうです。


その他

他にも、飛び入り参加した社員のエレベーターピッチやオーディエンスとして参加した社員とのディスカッションで大いに盛り上がりました。普段「自分はアイデアないなー」という人でも、他人の発表を聞くと触発されて何かアイデアが浮かんだりするものですよね。


終わりに

個人的な感覚ですが、IT、特にアプリを中心としたビジネスは勃興期から成熟期に差しかかっており、アイデアがすぐに事業と呼べるレベルにまで成長するのは難しい時期がしばらく続くのではないかと思っています。

業界のキャッチアップスピードは非常に速く、着想だけに頼った事業はすぐに競合にまねされてしまいます。しかも、この業界では資本力のある大手だけではなく、小規模ベンチャーや学生起業家などスピード感と野心のある競合とも競っていかなければなりません。そこで求められるのは、単にアイデアを製品化するだけではなく、マーケティングや資金調達、ビジネスモデルといったさまざまな要素を事業としてまとめ上げる「統合力」とでも言うべき能力ではないかと考えています。このような総合的なスキルは、企業の中で与えられた役割を果たすだけではなかなか鍛えられません。

このフロンティア部(会社非公式の部活)の活動は、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、企画力を競ったり、プロトタイプを作ったり、他社の社員とディスカッションしたりする中で、日常業務だけでは鍛えられない能力やセンスを高めることを目的としています。忙しい実務の合間を縫って、自分の思い描いた企画の実現を目指すのは、とても大変ですが、やりがいもあるし、何より経験としてかけがえのないものになると考えています。

会社という枠組みを越えて、有志の集まりだからこそできるオープンで能動的な活動を通して、社内にかつてない化学反応を起こしていこうと、部員一同日々がんばっております。

また動きがありましたらレポートさせていただきます。このような活動やコラボレーションに興味のある方、ぜひ naoto.kyo@gree.net までご連絡ください!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よろしくお願いいたします。