新規事業開発の実務

花粉症 (>_<)

事業家は、合理的に描かれた地図の上から混沌の海に飛び込む

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ある事業家と仕事の話をしている時に、「成功する事業かとは論理的な生き物か、それとも直感的か」という "ような" 話題になった。

企業内で活躍しているか、独立しているかを問わず、ある程度の結果を出しているビジネスマンは素養もしくはスキルとしてロジカルな思考を持っており、単純な二元論ではないと思う。

ビジネスプランを作る時に行う調査や分析、戦略立案のフレームワークは、合理的なゴールまでの地図を描いてくれる。

差がつくのは、その地図に描かれたゴールへの冒険を、実行に移すときだ。

地図から見える景色と現実は別物

日本地図でも、世界地図でも、縮尺の大きい地図を想像してみて欲しい。ある地点からある地点まで到達するためのルートは見えている。だが、実際に移動するとした場合、そこには山があり、谷があり、変化する天気や地域の情勢があり、燃料や食料といった資源が減り続ける恐怖と戦いながら進む道のりは地図からは想像できない混沌の世界だろう。

世界的に有名なデザイナー、奥山清行は「プロというのは非常に保守的だ。人は、知識を得れば得るほど慎重になる」と語った。Linkedinの創業者、リード・ホフマンは「リアルを知っていたらPaypalを立ち上げる気にはならなかっただろう」と著書に書いている。

事業においても、コンサル に頼めばきれいなビジネスプランの地図はできあがる。だが、実際に飛び込み、予測できない困難と戦いながら進むのは事業家自身であり、その原資を出すのは経営者や株主、投資家といった人たちだ。

経験が合理性の箍をはずす

合理的に描かれた、全てを見通すかのようにみえる地図から、現実という混沌の海に飛び込む時、頼りになるのは「合理性」や「論理」の先にある「嗅覚」のようなものだ。ビジネスプランが地図だとしたら、嗅覚はニーズを指し示すコンパスの役割を示す。

「どういう道筋かわからないが、この方向の先に成功があるようだ。行ってみる価値がある。」

私の周りで、頭ひとつ飛び抜けているような事業家は、みんなそれぞれの「コンパス」を持っている。無知な状態から知識を得、分析し、恐怖を乗り越えてリスクを取るためのコンパス。

「論理」と「直感」は二元論ではなく、基礎力としての「論理」と合理性の檻を打破するための「直感」という、守破離の関係にあるのではないかと思っている。

そしてその直感とは、数多くの経験から導き出される、「それぞれの事業家が持つ一点物のスキル」なのである。