はじめに
お世話になっております。
カーマンライン株式会社の直人です。
今回は、新規事業開発における企画と戦略立案について説明します。
本章のゴール
「新規事業開発の企画・戦略立案」といっても、それこそ環境や事業内容によってケースバイケースとなるのが当然です。どこから説明してよいか難しいため、本稿では新規事業の提案書テンプレートを埋めていく形式で基本的な流れや要点を説明していきます。
新規事業企画書の流れ
本稿で説明する企画書の流れは以下のようになります。仕事の流儀は十人十色、お好みにカスタマイズしてください。
図中にある通り、大きく「なぜやるのか?」→「何をやるのか?」→「どうやるのか」という流れになっています。
このあたりはまあ、定番というものもないのですが、アドバイスとしては「プレゼンの大きな流れを意識しながら作りましょう」という感じでしょうか。
枝葉末節に囚われて時間配分を間違えたり、論理展開を見失ったりしなければいいんじゃないかと思います。
たいがい余談ですが、サイモン・シネック先生は「WHYから始めよ」と言っています。
- 作者: サイモン・シネック,栗木さつき
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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①提案の背景
新規事業の説明に先立って、まず、企画を提案する背景を説明します。
新規事業プレゼンの場には、決裁者だけでなく上司、提案者、同僚、株主、部下など様々な関係者が参加します。そのようなステークホルダーと、立場を超えてゴールに対する共感・合理性を醸成するのが狙いです。
このスライドを作る際、説明する際の一人称は「我が社」「当社」であるべきです。
作成にあたっては以下の記事が参考になると思うので、よろしければご参照ください。
スライドのイメージとしては、例えばこのような感じです。
キーメッセージの例にあるように、企画の必然性と共感を得るためにはファクトを中心に構成する必要があります。
キーメッセージ例
- 驚異から導く必然性
「近年、(業界) においては (先行事例) のような新規参入が相次いでおり、(驚異) のような影響がある」- 機会から導く必然性
「(業界) では (機会) の成長が著しく、当社の (強みやアセット) を活用することで勝機がある」
本ブログでも何度か紹介している クリステンセン を挙げるまでもなく、全く新しいアイデアに賛同する人は少なく、むしろ少ないがゆえに新しくありえるのです。
これから説明する新規事業アイデア、つまり新しいアイデアは、多数決なら「順当にいって否決」という運命を背負っています。その運命を覆すために、最初のスライドでは「否定し難い事実」に立脚して議論の突破口を開く役割を担っています。
「機会」と「驚異」どちらに着目すべきか
事実に対する分析を起点として、「世の中こうだから、こうしないとやばい」という展開にするのか、「こんなチャンスが眼の前に転がっているのに挑戦しないのは愚かだ」という展開にするのかは難しい選択です。
もちろん正解はないのですが、私個人は意思決定者が「機会」と「驚異」のどちらにセンシティブかで決めます。
「機会」に敏感な意思決定者は、直感的な判断で成功した経験を持っていたり、投資家からストレッチな収益目標を課せられていたり、資金が余っていたり (お金を使わないと怒られるとか)、足元の (短期の) 運用実績が良くて押せ押せモードに入っていたりする人たちです。
逆に「驚異」にセンシティブな意思決定者は、成熟産業に携わっておりシェア拡大が停滞している、もしくはシェアが落ちている業界のリーダーなどです。
一方、「機会」「驚異」どちらにも反応しない属性もあります。例えば、直近の意思決定で連続して負けていたり、保守的な投資判断とROIで十分生活できることに満足していたり (定年間際とかも含め)、失敗に対する賞罰が大きかったりする人たち (例えば大企業では成功しても給与は大して上がらないが、失敗すると出世競争で負け人生設計が狂うという、リスクテイクできない属性が存在する) などが挙げられます。
いずれにせよ、リスクを取るのもお金を出すのも意思決定者なので、彼らの気持ちに寄り添って考える、というのが新規事業という社内起業家の立場を前提とした場合の順当な考え方だと考えます。
②事業概要
「提案の背景」に続く事業概要は、これから話す内容に関心を持ってもらうための「掴み」に相当します。
先ほど「提案の背景」は、ファクトに基づいて合理的にステークホルダーの論理的・感情的な同意を得るためのものだと述べました。これはこれで重要なステップなのですが、合理的な話というのは得てして退屈なものです。ましてや自分たちの事業領域について、再確認されたら「そんなことわかってるよ、バカ」と退屈に思い始める方も少なくないでしょう。
ですので、そこに続く事業概要は企画の要点を端的に述べつつも少し遊ぶような気持ちで作りましょう。やることは「センセーショナルなビジュアルやキャッチで盛りつつ、端的かつ直感的に事業を説明する」です。
企画の内容を盛ったり煽ったりしても、プレゼンが終わった後には印象しか残りません。質問やツッコミが出たとしても、聞いている相手が能動的になってくれたらこの段階ではプラスだと考えます。
プレゼン・提案を何度もやっていると、稀に決裁権限者が開始5分で寝始めるようなシチュエーションにも出会います。そういう際は、「ああ、文字が多すぎたんんだな」「ありきたりな話に時間を使いすぎたんだな」と反省するのが精神を健康に保つコツです。
アイデア出しについて
よくいただく質問として「アイデア出しの方法」があるのですが、正直わたしもあまり得意な方じゃないです。
苦手な人なりのやり方を紹介してますので興味がある方はどうぞ。
終わりに
ちょっと長くなってしまったので後編に続きます。
雛形とサンプルは最後にアップロードする予定ですので、もうしばらくお待ち下さいmm
文中で紹介したサイモン・シネック先生の素敵なプレゼンを紹介しておきます。
それでは、よろしくお願いいたします。